筋トレメニューあり⁈陸上アスリートのための腸腰筋の鍛え方

2019年5月23日

足を速くするために、最も大切な筋肉である腸腰筋。この筋肉を鍛えることが出来れば、競技実績が上がること間違いありません!そんな腸腰筋について、走りと繋げてご紹介します。後半にはオリジナルメニューもありますので、是非ご覧ください。

腸腰筋とは

腸腰筋とは、腸骨筋と大腰筋(+小腰筋)の総称で、3つの筋肉で腸腰筋群と表記されることが専門的ですが、一般的には腸腰筋でOKです。しかし陸上競技を専門的にやる上で、腸腰筋を一まとまりと考えてしますのは、危険です。なぜならば、腸骨筋の使い方と大腰筋の使い方は異なるからです。腸骨筋は、骨盤から大腿部にまたがっている筋肉で、大腰筋は、腰椎から大腿骨にまたがっている筋肉です。つまり、腸骨筋は、下半身から下半身、大腰筋は、上半身から下半身と筋肉の中で唯一上と下を繋ぐ筋肉であることです。唯一といえば、どれだけ大切なのかご理解頂けるのではないでしょうか?

 

腸腰筋の働きとは

先にもお話しした通り、腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋の二つに分類されます。腸骨筋は、足を引き上げる動きです。陸上競技で例をあげますと、俗にいう腿上げ動作です。

膝を高く上げ、体幹部と太腿の筋肉の角度が90度になるようなイメージです。良くコーチや監督から言われる表現で言うならば、足は股関節であげるようにという訳です。大腰筋は、意識的に動かせる腸骨筋とは種類が異なり、伸ばされて初めて縮もうとするものとお考えください。

例えば、輪ゴムを大きく引き伸ばした時、後ろに引けば前に飛んでいきます。当たり前のことですが、大腰筋に関しても、同じように考え、後ろに足が大きく伸ばされれば、前方向に跳ね返ってくるということです。この大腰筋が強ければ、輪ゴムが太いことになるので、より強力な前方向への力が生まれます。

つまり、陸上選手において大腰筋の強さが、より前へのストライドを生み、素早く縮もうとするピッチを上げることにも繋がるという訳です。

スピード=ストライド×ピッチ、その両方を叶えてくれる大腰筋を鍛えない訳にはいきませんね。この大腰筋が太いか細いかで、スプリント能力に影響してくる訳ですが、黒人選手の大腰筋と日本人選手の大腰筋の断面図はかなり違います。

人種が全てではありませんが、各国TOPレベルの選手で、これだけの大腰筋の太さの差があります。姿勢を見てもわかるように、黒人選手のお尻はものすごくプリッとしています。

これは、大腰筋が強いため骨盤をより前傾させてくれている証拠です。大腰筋が弱い選手が、黒人選手の真似をしようとして腰を強く入れたとしても、強度に耐えることはできず、足が前に出てこないので、無理な模倣はやめた方が良いと思います。

現在の日本選手にもハーフ選手が多く出てきていますので、日本人の技術が混ざりあえば、ものすごい成果が出るかもしれませんね。といっても人種で全て諦めていては、今以上の発展はあり得ませんので、黒人選手に比べて劣っていると思われえる大腰筋をしっかり鍛えていかかなくてはなりません。

赤ちゃんの頃は、日本人でもプリッとした骨盤の前傾ができいる訳なので、大人になってもできないことはありまえん。小学生、中学生、高校生からでも遅くなく、何をどうすれば足が速くなるのかを考え、今後のトレーニングに生かしてほしいです。

腸腰筋の筋トレを行うべき理由

マラソン 疲れない走り方

腸腰筋を筋トレするとこんな効果が

①ピッチが速くなる

陸上競技においてピッチ(回転)が速くなることは、車で言うエンジンのようなものです。速く動けば速く走れる、イメージしやすいですね。足が後ろに伸ばされた後に急激に縮む動作が強ければ、それだけ足が前に速く出てくることになります。

筋肉はゴムみたいなもので、強く伸ばされれば勢いよく戻ります。太くて柔軟性があるゴムであるほど、勢いは増します。ただし、走り方が適切でなけば腸腰筋の恩恵を受けることができないと考えています。

②ストライドが増える

ピッチと同じく陸上競技において必須次項のストライド、車で言うならタイヤのようなものです。坂の上から同じ重さの大きな玉と小さな球を転がした時に、どちらの速度が速くなるでしょうか?初速は小さい球、最高速は大きな玉です。

陸上競技には、この例が非常に良く当てはまります。陸上競技の短距離走は、最初負けていても最後に勝てばよいスポーツです。私は、初心者であればあるほど、ストライドを意識した練習を推奨しています。ピッチと同じように、太くて柔軟性があるゴムが縮むことで、より前方への強い力が発生します。輪ゴムも遠くへ飛びますよね。一歩が大きければ、一回の出力で大きく進めるようになるため、有利と言えます。ただし、ジャンプなどの上下動や大股などのスムーズな重心移動を妨げる行為をすると逆に無駄が生まれ、遅くなりますので注意が必要です。ただ大きく走れば良いものではありません。

③上半身と下半身の連動性が生まれる

冒頭で腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋(+小腰筋)のに分けられると書きましたが、その中で大腰筋は、筋肉の中で唯一上半身と下半身を繋ぐ筋肉なのです。つまり腸腰筋をうまく扱えるようになるということは、上半身と下半身の連動性を高めることに繋がるのです。腕は腕で振り、足は足で上げ、お互いを別々のものとして扱っているようでは、走りもどこか小さい走りになってしまいます。まずは、腸腰筋がどうこうよりも、例えば左腕を前に振りながら、右足を前に出すとか、右腕を後ろに引きながら右足を前に出すなど、4つの連動性を意識するようにしていきましょう。熟練度が上がれば、腸腰筋を意識して、足を上げ、腸腰筋を意識して腕を振れるようになり、つまり同時に二つのことをできるようになる訳です。あくまでも一流の感覚として書いていますので、いきなりできるようになることはありません。

④体幹が強くなり走りのブレが少なくなる

腸腰筋は、正しい姿勢を作るために必要な筋肉です。骨盤を前傾させるために必要な筋肉なので、背中が丸くなったり、猫背になったりすることを抑制し、速く走るために下半身の力を前方向により強く発揮するための姿勢を作ることができます。

もちろん腸腰筋が強くなれば、外力から耐える力も強くなりますので、当然体幹のブレは少なくなっていきます。ただいくら姿勢を作る重要な筋肉と言えど、腸腰筋だけに頼るのではなく、腹直筋や腹斜筋、脊柱起立筋群もお腹周りの重要な筋肉なので、バランスをとる必要があると考えます。

⑤姿勢が良くなり、自発的動作が生まれる

姿勢を正し、自由にコントロールできるようなると、重心移動を体幹部で扱うことができるようになります。例えば、直立姿勢(気を付け)は、前にも後ろに行かずニュートラルな姿勢なのでその場にとどまり、猫背や背中が丸い姿勢は、かかとに重心が行き、極端にやれば後ろに下がることになります。

腸腰筋を意識し骨盤の前傾姿勢をとると、つま先に重心が行き、勝手に前に出てしまいます。つまり、姿勢が悪いということは、勝手に前に出てしまう自発的な動作を消していることになります。なんてもったいないことでしょう。もし無意識的な前への重心移動が身に着けば、走りがもっと楽になるのではないでしょうか。100m走ではもちろん、マラソンにも大きく影響する姿勢です。

⑥接地が上手くなり怪我が少なくなる

怪我の発生は、足の着き方、着く場所に大きく起因すると考えています。足の上げ方は、大きく分けて3種類あり、小さい順に足首で上げる、膝で上げる、股関節で上げるとなります。

下腿の筋肉や大腿前部の筋肉を中心に走っていると膝の上げる角度や方向が安定せずに、接地の場所が重心の奥、手前、下、左右などランダムになります。

例えばその場で、高速で足踏みをすると、股関節で扱える人は、ほぼ動きませんが、膝中心に動かしている人は、接地の場所がバラバラになり、前に出たり後ろに下がったりを繰り返してしまいます。

股関節で足を上げるということは、引き寄せるであり、膝で足を上げるということは、押し上げると考えると分かりやすく、荷物運びを例にあげますと、荷物の下に入り込んで押し上げるよりも、上からロープで引き寄せた方が、重力に対して垂直になるため、余計な軌道修正が必要なくなります。

股関節では、引き寄せて力を抜くだけなので、同じ場所に戻ります。膝では、押し上げて、さらに押し下げるので、行きと帰りの道が変わりやすいです。そのため、接地の位置が不安定になるということです。

重心の手前に足をつけば、つまずくような潰れた姿勢になり、重心の奥に足をつけば腰が遅れた丸まったような姿勢になります。膝の意識を極限まで少なくし、腸腰筋で引き寄せる意識で走れれば、自然と重心の真下に接地することになり、安定感が生まれます。

逆に、不安定ということは、重心の真下に足をつくことができないため、足に大きな負担がかかってしまうリスクが増えるということです。


ただジャンプしているようですが、大腰筋を意識し、上半身と下半身を繋いでいます。普通により跳ぶよりも、はるかに回転力を上げることが可能です。正直かなりマニアアックな技術なので、初心者の方は参考程度が良いかもしれません。

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